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「ハートキャッチプリキュア!」おすすめの3本

以前書いたものの第7弾。

 

今回はシリーズ第7作の「ハートキャッチプリキュア!」のおすすめの3本を書く。

 

ちなみに過去のものはこれ。

「ふたりはプリキュア」 おすすめの3本 - 鍋風呂

「ふたりはプリキュア Max Heart」 おすすめの3本 - 鍋風呂

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「フレッシュプリキュア!」おすすめの3本 - 鍋風呂

 

1.第9話「スカウトされたお父さん!お花屋さんをやめちゃいます!?」 

今作はプリキュアシリーズの中でも屈指の単発のお話のレベルの高さを誇る作品なのだが、その中でもこの回は特に素晴らしい。

 

花咲つぼみキュアブロッサム)の父・陽一に企業からスカウトが来て、そこから花咲家が現在のように花屋を営むまでに何があったのかが詳らかになっていくというのがあらすじ。

 

この回で印象的なのは回想シーンで出てくるつぼみ、そしてデザトリアン化する小畑の心情表現だ。

回想シーンでのつぼみの姿は、同じ構図を何度も使うことでその変化をはっきりと伝えてくれる。

縁側に座るつぼみのそばにあるものがスケッチブックとクレヨン(使用形跡あり)からぬいぐるみ(使用形跡なし)になり、つぼみの笑顔が作り笑いのようになり、つぼみの横に何も置かれなくなり、最後につぼみがうなだれる。

時間としては長くないが、つぼみの寂しさが沁みるようにこちらに伝わってくる。

だからこそ、ツバメの親子を見てつぼみが耐え切れず泣き出すことの印象が強くなるのだ。

このシーンは何度見ても素晴らしいし、見返すごとにその素晴らしさに感心しきりになる。

 

また、小畑の心情表現はデザトリアン化するシーンからが素晴らしい。

デザトリアン化するシーンから背景は夕焼けになるのだが、小畑の悲しみや苦しみを具現化したかのような夕焼けだ。

これをバックにデザトリアンがプリキュア達に向かって歩いてくるカットなんて、ウルトラマンとかにありそうな雰囲気で哀愁漂いまくりである。

画面だけでも花を愛する気持ちと仕事上の役割の間での葛藤がビンビンに伝わってくる。

 

この回の脚本的に素晴らしいところは、このように印象的に描かれるつぼみと小畑の想いのどちらも否定しない形で解決へと導いている点だ。

つぼみの家族への想いは間違っていない。

これはおそらくどのような作品で扱ったとしても同じように正しいものとして扱われるだろう。

しかし、だからといって小畑の想いが間違っているわけではない。

作品によってはつまらない大人の価値観として切り捨てられてしまうこともある小畑の想いを、ブロッサムは「いい加減な気持ちじゃないから、怖くなるんです!」と言う。

今作は人の心を花に例えているが、この回でも言われるように「それぞれの良さがある」とするのが今作の価値観だ。

利害の対立する相手の想いもこのように受け入れる、今作の懐の深さがしっかりと出ている。

 

また、来海えりか(キュアマリン)の立ち位置もよい。

小畑に自分の想いを伝えられないでいるつぼみの背中をしっかり押すだけでなく、事情を知らなかったとはいえつぼみを傷つけてしまったのではと反省までしている。

まだ9話だというのに凄まじい成長速度である。

また、本筋とは全く関係ないが、えりかの出した「とんかつの好きな犬と、てんぷらの好きな猫が将棋で対決しました。勝ったのはど~っちだ?」 というなぞなぞの答えは何なのだろう?

全く分からない。

 

脚本の成田良美さんは説明不要。

流石はミス・プリキュア

演出は翌年「スイートプリキュア♪」のシリーズディレクターを務めることになる境宗久さん。

最近では「ゾンビランドサガ」で有名だろう。

心情演出、戦闘演出ともに素晴らしく、ミュートしていても十分に面白いと思わせるほどだ。

プリキュアシリーズにおいて、単発で見た場合のベスト候補な傑作回。

 

2.第36話「みんなが主役!わたしたちのステージです!!」

今作の日常パートを語るうえで欠かせないのが、えりかが部長を務めるファッション部である。

今回はそのファッション部のストーリーの集大成と言える回だ。

 

ファッション部がここまでの話で準備を進めてきた文化祭でのファッションショーの本番当日。

軽音楽部のボーカルの彩と真由はプレッシャーで逃げ出してしまう。

そんなふたりにかけるえりかの言葉は素敵だ。

 

大丈夫だよ。だってひとりじゃないんだから。

 

プリキュアシリーズに貫かれる信念であると同時に、第1話でファッション部がたったひとりになってしまったところからここまで来たえりかの物語を思い出させる言葉でもあり、胸に沁みる。

 

戦闘シーンでも、今回はブロッサムとマリンが目立つ。

今回デザトリアン化した彩と真由の抱えていた問題は、かつてつぼみとえりかが抱えていた問題に似ており、ふたりの1話からの成長が感じられるようになっている。

 

そして、今回のラストを飾るのはもちろんファッションショーだ。

プリキュアシリーズ史上屈指の名曲「HEART GOES ON」をバックに約4分間セリフ無しでファッションショーが映し出される。

しかし、セリフが無くとも「HEART GOES ON」の歌詞、各キャラクターの動きのそれぞれがここに至るまでのストーリーをしっかりと思い出させてくれるようになっており、まったく退屈しない。

つぼみの手を引くえりか、ふたりで決める変身時のポーズ。

「きっと暗闇越えた瞳だから誰よりホントの光をみつけられる!」のところで映し出される明堂院いつき(キュアサンシャイン)と月影ゆり(キュアムーンライト)。

このファッションショーはプリキュアシリーズ史上最も好きなシーンの1つだ。

 

脚本の井上美緒さんは、脚本の参加は今作だけ。

それでいながらこれほど重要な回を任されるとは実力が認められていたということだろう。

演出の黒田成美さんはプリキュアシリーズの多くに参加しており、「映画スマイルプリキュア!絵本の中はみんなチグハグ!」では監督も務めている。

華美過ぎず、しっかりと美しさを感じさせる演出家という印象があり、ファッションショーを見せ場とする今回にはうってつけだ。

1話目から描かれてきたファッション部の集大成、つぼみとえりかの成長、それらを主役に据えると同時にここまでの話に出てきたキャラクターたちがほぼ総出演することで、隅から隅まで今作の紡いできた物語を堪能できるようになっている。

ハートキャッチプリキュア!」という作品を象徴するような、単発での面白さと物語の積み重ねをハイレベルに両立した素晴らしすぎる回。

 

3.第48話「地球のため!夢のため!プリキュア最後の変身です!」

ラスト直前のこの回は、つぼみ、ゆり、ダークプリキュア、サバーク博士の物語の終着点を最高の演出と音楽が彩る、クライマックスにふさわしい回だ。

 

前回のラストでムーンライトに倒されたダークプリキュア

彼女のラストはもの悲しさを残しながらも、愛する父の腕の中で死ぬことができたのが救いだったのだと思える。

最後にムーンライトに向けた微笑みも、それまでの憎しみが嘘のような穏やかなものだった。

それは、サバーク博士が自らの行いの間違いに気付き、ギリギリだったがダークプリキュアを娘と呼んだからだ。

それがダークプリキュアを救うことにつながったのだ。

 

そして、ゆりに降りかかる試練はプリキュアシリーズ史上最も重たいものだった。

長年探していた父親が敵だっただけでなく、正気に戻ってすぐに目の前で死ぬなんて朝の女児アニメでやっていいのだろうか?

しかも、ダークプリキュアのように抱きしめることもできず爆散してしまうのだから徹底的に試練を与えている。

その状況を前に、一度はゆりも憎しみに飲み込まれそうになる。

その憎しみは観ているこちらも十分なほど伝わる。

しかし、それを止めるつぼみのこの言葉にも十分すぎる説得力がある。

 

悲しみや憎しみは、誰かが歯を食いしばって断ち切らなくちゃ駄目なんです!

 

これは今作だけでなく、梅澤淳稔プロデューサー時代以降のプリキュアに流れる信念だろう。

そして、かつてゆり自身が口にした言葉でもある。

最後にゆりが出した結論は「憎しみでなく、愛で戦う」だった。

そして流れる「HEART GOES ON」をバックに変身。

その後に続くバトルはプリキュアシリーズ史上でも最高クラス。

36話もそうだが、「HEART GOES ON」が流れるシーンは名シーンしかない。

 

脚本は今作のシリーズ構成を務める栗山緑さん。

おジャ魔女どれみシリーズのシリーズ構成も務めていたので実力は言うまでもない。

演出は広嶋秀樹さんと長峯達也さん。

広嶋さんは今作と次年の「スイートプリキュア♪」に参加しているが、どれも共同演出なので優秀なサポート役なのだろう。

長峯さんは今作のシリーズディレクターを務めており、後に「ハピネスチャージプリキュア!」でもシリーズディレクターを務めている。

ギャグもシリアスも日常もアクションもハイレベルにこなす万能型の演出家という印象がある。

ハートキャッチプリキュア!」の裏主人公と言われるゆりに一番スポットが当たっているが、それに印象を消されないほどにつぼみの成長もはっきりと感じさせてくれる。

最弱のプリキュアだったブロッサムが最強のプリキュアであるムーンライトを奮い立たせ、共に変身し戦う。

感情のジェットコースターに乗せられたように何度見ても心に響いてくる大傑作回。

 

終わりに

ハートキャッチプリキュア!」のおすすめの3本について書いた。

今作は1話ごとの面白さと、1年間通してみた時の面白さをバランスよく両立できているので、プリキュアシリーズを見たいけど、どれから見始めたらいいか分からないという人にはおすすめだ。

このバランスの良さやポップさがあるからこそ、プリキュアシリーズ史上最高の玩具売上に繋がってるんだろう。

良いものが売れるとは限らないが、売れるものは良いものが多いのよね。