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「オランダ靴の謎」感想

今回はエラリー・クイーン氏の国名シリーズ第3作である「オランダ靴の謎」の感想を書いていく。

当然ネタバレもある。 

 

解明のロジックについて

解説で法月綸太郎さんも書いている通り、「オランダ靴の謎」の最大の魅力は謎を解明するロジックである。

第1の事件と第2の事件で残された手掛かりから引き出される情報を合わせることによって、唯一の犯人を特定するという推理のロジックは絶品。

これほどしっかりとしたロジックは、クイーン氏のフォロワーが数多く生まれた現在でもなかなかお目にかかれない。

特にタイトルにもある靴から犯人の条件(病院関係者の女性)を引き出すロジックは(絆創膏が一般に普及していなかった時代だという知識が必要だが)美しすぎる。

1931年にこれほどの作品を書いていたクイーン氏の偉大さを感じずにはいられなかった。

 

謎の難易度について

優れたロジックの反面、謎の難易度自体は低い。

特に第2の事件の手掛かりはあからさますぎる感じがある。

ぶっちゃけ、私は第2の事件の犯行方法(ファイル戸棚の中の記録を取ることを理由に背後に回る)とアリバイの有無だけで犯人を特定した。

犯行方法だけで容疑者は2人になるし、その片方はアリバイあるんだもの。

犯人が分かってしまえば第1の事件のハウダニット(1人2役)に関しては誰でも分かる。

さらに、それが分かれば必要な条件を満たすために共犯者(トマス・スワンソン)の存在も浮かび上がる。

そこのところは弱点と言えなくもないと思う。

 

しかし、「オランダ靴の謎」では、たとえ犯人を特定できたとしても、エラリー(作中の探偵の方)が辿った思考を完璧に再現することは難しいであろう。

多くの読者が、そこまで考えているのかと驚嘆することは間違いない。

これは優れたクイーン氏のフォロワーの作品も含めた特徴だが、犯人当て小説でありながら、犯人が分かったとしても、特定に至る優れたロジックによって作品の魅力は色あせるどころか、より輝きを増すのだ。

 

最後に

ようやく手を出したクイーン作品も、兼業作家時代の3作品を読み終えた。

読んでいて感じるのはクイーン氏の偉大さだ。

クイーン氏がいなければ、現在の日本のミステリ界の風景もガラリと変わっていただろう。

そうなれば、私がミステリを読むこともなかったと思う。

次からはクイーン氏の最高の年である1932年の作品に取り掛かれる。

楽しみだ。