鍋風呂

色々趣味について

「嘘解きレトリック」のすすめ

おの久方ぶりの更新になるが、今回は都戸利津先生の「嘘解きレトリック」について書いていきたい。

元号が変わって最初に読み終わったマンガがこの作品だったのだがとにかく面白かった!

こりゃあネットにも素晴らしい感想がたくさんあるだろうと探してみたら、何と数の少ないことか。

というわけで「嘘解きレトリック」の素晴らしさについて書いていく。

 

「嘘解きレトリック」とは?

まずはこの作品をざっと紹介させてもらう。

2018年まで「別冊 花とゆめ」で連載されていた本作は全10巻。

あらすじは

 

人の嘘を聞くことのできる女の子浦部鹿乃は、探偵の祝左右馬と出会い、彼のもとで助手として働くことになる。

2人の前に立ちふさがるのは摩訶不思議な難事件———なんてことはなく、家賃を払うのもままならない。

そんな日常の中で出会う事件を通して人と触れ合いながら暮らしていく2人の様子が描かれる。

 

みたいな感じで一応ジャンル的にはミステリなのだが、いかにもな感じの事件はそこまで多くない。

また、鹿乃子に嘘を聞く能力があるために犯人当ての要素は皆無と言ってよく、謎の中心はハウダニットホワイダニットになっている。

そのため、ミステリとはいっても誰でも読みやすい作品に仕上がっている。

 

嘘が聞こえる能力という設定

「嘘解きレトリック」最大の特徴は、間違いなく主人公である鹿乃子の持つ人の嘘を聞く能力だ。

とにかくこの設定の使い方がうまい。

嘘が聞こえることによって生まれる矛盾をストーリーの中心に置いたり、嘘の裏にある真実を解き明かすことによってミステリとしての形にしているのはもちろん素晴らしいのだが、特に好きなのが終盤で鹿乃子自身が発した嘘を聞いてしまうシーンだ。

少女マンガ的な恋愛の少ない本作だが、その分恋愛シーンの破壊力は凄まじいものがある。

 

祝左右馬という探偵

本作の探偵役を務める祝左右馬の展開する推理はマンガ作品としてはかなりロジカルだ。

作中でも語られているように、鹿乃子の力で事実を把握したうえで後で理屈をつけているからそうなるのは当然なのだが、探偵の直観力に推理の根本が支えられている作品が多い中でこのスタイルはなかなかに個性的に感じる。

 

作品全体の雰囲気

そして、何よりも好きなのが作品全体の雰囲気だ。

舞台となっている九十九夜町の雰囲気も好きだし、登場人物たちも愛おしくてたまらない。

登場人物の服装、建物や出てくる食事に至るまで昭和初年という時代が目の前に本当に広がっているように感じられる。

モダンが好きならその部分だけで楽しめるほどだ。

 

最後に

とにかく「嘘解きレトリック」という作品は少女マンガ的なものとミステリ的なものを上手に融合させた作品だ。

キャラ、ストーリー、ミステリの要素がバランスよく高いレベルでまとまっていて、広く遍く読者に愛されることができる作品だ。

それなのに、何故にここまでメディアミックスがなされていないのか?

ドラマCDにすらなっていないってどういうことなのよ?

もっといろんな人に読まれてほしいなと思う素晴らしい作品だ。